久万美術館企画展
放浪の詩人画家「佐藤渓」
Sato KEI : a Wonder
2022年5月28日(土)〜
以下、久万美術館HPより
美術評論家・洲之内徹は「気まぐれ美術館」で佐藤溪を取り上げ、霊的な油彩画にも深い関心を示して、敬意をはらいながらも遠ざかった。このたび、洲之内とゆかりの深い久万美術館は美術評論家・椹木野衣を監修に迎え、凄絶な生きざまをみせる佐藤の深淵に迫りたい。
佐藤溪(1918-1960年 本名・忠義)は放浪の詩人、画家として知られる。第二次大戦中は中国、東南アジアに赴き、1945年に復員した。出雲、亀岡、神戸などに住んだあと、55年から5年間、2度にわたって全国各地を旅している。
放浪の途中で、即興的に描いた多数の水彩画、スケッチを遺している。海や民家、旅先の何気ない風物に心を躍らせ躍動する画家の心が伝わってくる。哀切な詩情がにじむ作品である。佐藤溪は、こうした画業で知られているが、本展では放浪する前に描いた油彩画に注目したい。中国大陸のイメージが投影されたような不思議な人物像、妖しい微笑をたたえた女性像など。放浪中の作品とは全く違う、霊的な作品である。
心霊界を思い起こさせるような作品の発表、その後に続く不可解な放浪。佐藤は、自らの人生を社会の隅に追いやった。いや、追いやらざるを得なかった。凄まじいほどの生活は、心の痛みに起因していたとしても不思議ではない。佐藤の内奥に潜在したものは一体、何だったのだろうか。魔性、あるいは呪術的なものなのか。
【現在開催中】河村元泰コレクション
・昨年、京都在住の河本元泰氏から寄贈を受けた絵画、陶磁器を公開中。
〜5月22日(日)まで。
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